【本業:介護のニュース】高齢者虐待の研修資料

【本業】介護のニュース

高齢者虐待防止についての研修

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この内容は自己研鑽・事業所内研修を目的に厚生労働省が発表している資料をもとに作成しております。参考資料としてご自由にご利用ください。

【出典】平成 30 年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果

定義の理解

高齢者虐待防止法による定義 

・高齢者とは…65 歳以上

・養護者とは…高齢者の世話をしている家族、親族、同居人等

 高齢者虐待の種類

①身体的虐待:高齢者の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴力を加えること。 暴力的行為などで、身体にあざ、痛みを与える行為や、外部との接触を意図的、継続的に遮断する行為。

【具体的な例】

・平手打ちをする、つねる、殴る、蹴る、無理矢理食事を口に入れる、やけど・打撲させる

・ベッドに縛り付けたり、意図的に薬を過剰に服用させたりして、身体拘束、抑制をする/等

② 介護・世話の放棄・放任:高齢者を衰弱させるような著しい減食、長時間の放置、養護者以外の同居人による虐待行為の放置など、養護を著しく怠ること。意図的であるか、結果的であるかを問わず、介護や生活の世話を行っている家族が、その提供を放棄または放任し、高齢者の生活環境や、高齢者自身の身体・精神的状態を悪化させていること。

【具体的な例】

・入浴しておらず異臭がする、髪が伸び放題だったり、皮膚が汚れている

・水分や食事を十分に与えられていないことで、空腹状態が長時間にわたって続いたり、脱水症状や栄養失調の状態にある

・室内にごみを放置するなど、劣悪な住環境の中で生活させる

・高齢者本人が必要とする介護・医療サービスを、相応の理由なく制限したり使わせない

・同居人による高齢者虐待と同様の行為を放置すること/等

③ 心理的虐待:高齢者に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応その他の高齢者に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。脅しや侮辱などの言語や威圧的な態度、無視、嫌がらせ等によって精神的、情緒的苦痛を与えること。

【具体的な例】

・排泄の失敗を嘲笑したり、それを人前で話すなどにより高齢者に恥をかかせる

・怒鳴る、ののしる、悪口を言う

・侮辱を込めて、子供のように扱う

・高齢者が話しかけているのを意図的に無視する/等

④ 性的虐待 :高齢者にわいせつな行為をすること又は高齢者をしてわいせつな行為をさせること本人との間で合意が形成されていない、あらゆる形態の性的な行為またはその強要。

【具体的な例】

・排泄の失敗に対して懲罰的に下半身を裸にして放置する

・キス、性器への接触、性交を強要する/等

⑤経済的虐待養護者又は高齢者の親族が当該高齢者の財産を不当に処分することその他当該高齢者から不当に財産上の利益を得ること。本人の合意なしに財産や金銭を使用し、本人の希望する金銭の使用を理由無く制限すること。

【具体的な例】

・日常生活に必要な金銭を渡さない/使わせない

・本人の自宅等を本人に無断で売却する

・年金や預貯金を本人の意思・利益に反して使用する/等

資料から読み解く高齢者虐待

【意見交換①】

①相談・通報件数、虐待判断件数が増加傾向にあるのはなぜでしょうか?

②相談・通報件数と虐待判断件数の増加率に差があるのはなぜでしょうか?

高齢者虐待判断件数等

【出典】平成 30 年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果

施設やサービス事業所等(※1)からの相談・通報件数は、平成29年で1898件、平成30年で2187件でした。

これに対し虐待判断件数は、平成29年で510件、平成30年で621件でした。

家族や親族等(※2)からの相談・通報件数は、平成29年で30040件、平成30年で32231件でした。

これに対し虐待判断件数は、平成29年で17078件、平成30年で17249件でした。

通報件数・虐待判断件数共に増加しております。

【出典】平成 30 年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果

養介護施設従事者(施設やサービス事業所)等による高齢者虐待

(1)相談・通報者(多い順)

①当該施設職員(21.6%)

②家族・親族(19.7%)

(2)事実確認の状況

相談・通報の受理から事実確認開始までの期間の中央値は 6 日

相談・通報の受理から虐待判断までの期間の中央値は 35 日

(3)虐待の発生要因(多い順)

①教育・知識・介護技術等に関する問題(58.0%)

②職員のストレスや感情コントロールの問題(24.6%)

③倫理観や理念の欠如・人員不足や人員配置の問題及び関連する多忙さ(10.7%)

(4)過去の指導等

虐待の事実が認められた 621 件の施設・事業所のうち、200 件(32.2%)が過去何らかの指導等(虐待以外の事案に関する指導等を含む)を受けており、過去にも虐待事例が発生していたケースが 20 件あった。

(5)虐待の事実が認められた施設・事業所の種別(多い順)

①特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)(34.9%)

②有料老人ホーム(23.0%)

③認知症対応型共同生活介護(グループホーム)(14.2%)

④介護老人保健施設(8.1%)

(6)虐待の内容(多い順)

①身体的虐待(57.5%)

②心理的虐待(27.1%)

③介護等放棄(19.2%)(複数回答)

【出典】平成 30 年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果

・被虐待高齢者 927 人のうち、「身体拘束あり」は 203 人(21.9%)であった。

・虐待の程度(深刻度)では、5 段階評価で最も軽い「1-生命・身体・生活への影響や本人意思の無視等」が 560 人(60.4%)である一方、最も重い「5-生命・身体・生活に関する重大な危険」は 27 人(2.9%)であった。

・養介護施設従事者等による虐待における死亡事例は 1 件であった。

【意見交換②】

虐待を受けたものについて

①女性と男性とではどちらの数が多いでしょうか?

②どの年齢層が多いと思いますか?

③認知症(コミュニケーション能力)と関係はあると思いますか?

④要介護度と関係があると思いますか?

⑤寝たきり度と関係があると思いますか?

⑥上記①~⑥はなぜそう思いましたか?

(7)被虐待高齢者(虐待を受けた高齢者)の状況

・性別(多い順)

①女性(74.2%)

②男性(25.8%)

・年齢

①「85~89 歳」(24.8%)

②「90~94 歳」(21.3%)

③「その他」

・要介護度

①「要介護度 3 以上」(78.2%)

②「要介護2以下」(21.8%)

・被虐待高齢者の認知症日常生活自立度

①「Ⅱ以上の者」(80.5%)

②「Ⅰ以下」(19.5%)

・要介護認定者のうち障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)

①「A 以上の者」(64.0%)

②「J以下」(36%)

(認知症との関係)

・認知症日常生活自立度Ⅳ/Mの場合、身体的虐待を受ける割合が特に高い。

・入所系施設における被虐待高齢者の「認知症の程度」と「虐待の程度(深刻度)」の関係をみると、認知症の程度がⅢ以上では、「深刻度 4・5」が一定割合を占めている。

(要介護度との関係)

・要介護度が重度になるほど「身体的虐待」の割合が高い

(寝たきり度との関係)

・「寝たきり度C」において「介護等放棄」の割合が高い

(施設種別との関係)

・「介護保険 3 施設」では、「介護等放棄」が含まれる割合が高い

・「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)・小規模多機能型居宅介護」では、「心理的虐待」が含まれる割合が高い。

・「居宅系」では、「経済的虐待」が含まれる割合が高い。

・身体的虐待に該当する身体拘束は、「有料老人ホーム」(特に住宅型有料老人ホーム)での割合が高い。

(8)虐待を行った養介護施設従事者等(虐待者)の状況

年齢(多い順)

①「30~39歳」(19.6%)

②「30 歳未満」(19.2%)

③「40~49 歳」(15.9%)

④「50~59 歳」(14.0%)

職種

①「介護職」(84.1%)

②その他

性別

①「男性」(54.2%)

②「女性」(40.7%)

虐待者の男女比については、介護従事者全体(介護労働実態調査)に占める男性の割合が 20.6%であるのに比して、虐待者に占める男性の割合が 54.2%であることを踏まえると、虐待者は相対的に男性の割合が高い。

・虐待者の男女別年齢と介護従事者を比較すると、男性・女性ともに「30 歳未満」の虐待者の割合が介護従事者全体よりも高い傾向がみられる。

養護者による高齢者虐待

(1)相談・通報者(多い順)

①「介護支援専門員」(28.4%)

②「警察」(24.7%)

③「家族・親族」(8.4%)

(2)事実確認の状況

・相談・通報の受理から事実確認開始までの期間の中央値は 0 日(即日)であり、相

談・通報の受理から虐待判断までの期間の中央値は 1 日(翌日)

・ 相談・通報件数 33,494 件(平成 29 年度以前に相談・通報があったもののうち、平成 30 年度中に事実確認を行ったものを含む。)について、市町村が事実確認を行った事例 32,018 件(95.6%)のうち、「訪問調査」が 21,411 件(63.9%)、「関係者からの情報収集」が 10,464 件(31.2%)、「立入調査」が 143 件(0.4%)により実施された。

(3)虐待の発生要因

①「虐待者の介護疲れ・介護ストレス」(25.4%)

②「虐待者の障害・疾病」(18.2%)

(4)虐待の内容

①「身体的虐待」(67.8%)

②「心理的虐待」(39.5%)

③「介護等放棄」(19.9%)

④「経済的虐待」(17.6%)

【出典】平成 30 年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果

・虐待の程度(深刻度)の割合は、5 段階評価で「3-生命・身体・生活に著しい影響」が6,113人(34.6%)と最も多く、次いで「1-生命・身体・生活への影響や本人意思の無視等」が5,190人(29.3%)であった。一方、最も重い「5-生命・身体・生活に関する重大な危険」は1,385人(7.8%)であった。

(5)被虐待高齢者の状況

性別(多い順)

①「女性」(76.3%)

②「男性」(23.7%)

年齢

①「80~84 歳」(24.4%)

③「75~79 歳」(20.5%)

介護度

①「要介護 1」(24.4%)

②「要介護 2」(21.8%)

③「要介護 3 以上」(38.2%)

認知症日常生活自立度

①Ⅱ以上(71.7%)

②Ⅰ以下(28.3%)

要介護認定者のうち障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)

①A 以上(70.6%)

②J以下(29.4%)

(認知症との関係)

・重度の認知症がある場合には「介護等放棄」を受ける割合が高い。「身体的虐待」では逆。

(要介護度との関係)

・「身体的虐待」と「心理的虐待」では要介護度が重い方の割合が低く、「介護等放棄」では逆。

・要介護度が重い場合に深刻度が高まる。

(寝たきり度との関係)

・寝たきり度が重度の場合に「介護等放棄」を受ける割合が高い。「身体的虐待」や「心理的虐待」については逆。

・被虐待高齢者の寝たきり度が重度の場合に、虐待の深刻度が高くなる。

(介護保険サービス利用状況との関係)

・介護保険サービスを受けている場合では、虐待の深刻度が低い「深刻度 1・2」の割合が相対的に高く、「深刻度 4・5」の割合が相対的に低い。

【出典】平成 30 年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果

・介護保険サービスを受けている場合では、相談・通報者に「介護支援専門員」や「介護保険事業所職員」が含まれる割合が相対的に高い。

・過去受けていたが虐待判断時点では受けていない場合では、相談・通報者に「医療機関従事者」が含まれる割合が相対的に高い。

・過去も含めて受けていない場合では、相談・通報者に「被虐待者本人」「家族・親族」「警察」が含まれている割合が相対的に高い。

【出典】平成 30 年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果

(6)虐待を行った養護者(虐待者)の状況

①「虐待者のみと同居」(50.9%)

②「虐待者及び他家族と同居」(36.1%)

【出典】平成 30 年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果

被虐待高齢者から見た虐待者の続柄(多い順)

①「息子」(39.9%)

②「夫」(21.6%)

③「娘」(17.7%)

年齢

①「50~59 歳」

②「40~49 歳」

③「60~69 歳(「60~64 歳」と「65~69 歳」の合計)」 16.4%

④「70~79 歳(「70~74 歳」と「75~79 歳」の合計)」 15.4%

(7)虐待の事実が認められた事例への対応状況

・「虐待者から分離を行った事例」

内訳

①「介護保険サービスの利用」(32.3%)

②「医療機関への一時入院」(17.2%)

③「やむを得ない事由等による措置」(14.7%)

④「住まい・施設等の利用(入院、一時保護等を除く。)」(14.1%)

・「被虐待高齢者と虐待者を分離していない事例」

内訳

①「養護者に対する助言・指導」(53.1%)

②「ケアプランの見直し」(26.8%)

・権利擁護

成年後見制度の「利用開始済」が 929 人、「利用手続中」が 657

人であり、これらを合わせた 1,586 人のうち市町村長申立の事例は 980 人(61.8%)

であった。

(8)虐待等による死亡事例

「養護者のネグレクトによる被養護者の致死」及び「養護者の虐待(ネグレクトを除く)による被養護者の致死」がそれぞれ 5 人

「養護者による被養護者の殺人」が 4 人

「心中」が 1 人

定義の理解・資料から読み解く高齢者虐待はここまでです。

【意見交換①】

①相談・通報件数、虐待判断件数が増加傾向にあるのはなぜでしょうか?

②相談・通報件数と虐待判断件数の増加率に差があるのはなぜでしょうか?

【意見交換②】

虐待を受けたものについて

①女性と男性とではどちらの数が多いでしょうか?

②どの年齢層が多いと思いますか?

③認知症(コミュニケーション能力)と関係はあると思いますか?

④要介護度と関係があると思いますか?

⑤寝たきり度と関係があると思いますか?

⑥上記①~⑥はなぜそう思いましたか?

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