この内容は厚生労働省が発表している下記資料を基に、自己研鑽・事業所内研修を目的に作成いたしました。
先ずはこちらをご覧ください。
医師法19条1項「診療に従事する医師は、診察治療の求があった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」
きちんと読めば「お医者さんって大変…」って思いますよね。きちんと読むのはボリュームがありすぎますので、今回の研修内容を簡潔にまとめた文章を掲載いたします。
身元保証人等がいないことのみを理由に医療機関において入院を拒否することについて
医師法(昭和23年法律第201号)第19条第1項において、「診療に従事する医師は、診療治療の求があった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。」と定めている。ここにいう「正当な事由」とは、医師の不在または病気等により事実上診療が不可能な場合に限られるのであって、入院による過量が必要であるにもかかわらず、入院に際し、身元保証人等がいないことのみを理由に、医師が患者の入院を拒否することは、医師法第19条第1項に抵触する。
本人と医療機関、それぞれの困りごと
身寄りのない独居高齢者の入院(だけではございませんが…)については、いろいろとハードルがありますよね。
- 入院の書類書けますか?
- 保険証おもちですか?
- お支払いはどうしますか?
- 着替えやティッシュなど必要物品の準備はできますか?etc…
少子高齢化が進展する中、認知症等により判断能力が不十分な人が増加するとともに、単身世帯の増加や頼れる親族がいない人の増加といった状況が見られます。
上記ハードルをクリアしてほしい医療機関、クリアしたいができない本人。対応を医療機関のみに任せるのではなく、日ごろから準備しておくことでクリアできる問題点もありそうに見えませんか?それでは、下記の資料を読み解きながらできることを考えていきましょう。
ガイドラインの活用
身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドラインの発出について
2.ガイドラインの基本的な考え方
(1)ガイドラインの支援の対象者
本ガイドラインの支援の対象となる人は、身寄りがない人に加えて、例え
ば、次のような人も対象になりうると想定されます。
① 家族や親類へ連絡がつかない状況にある人
② 家族の支援が得られない人
(2)ガイドラインにおける「身元保証・身元引受等」の機能・役割
医療機関が「身元保証・身元引受等」に求める機能や役割としては、主に次
のような事項であると考えられます。
① 緊急の連絡先に関すること
② 入院計画書に関すること
③ 入院中に必要な物品の準備に関すること
④ 入院費等に関すること
⑤ 退院支援に関すること
⑥ (死亡時の)遺体・遺品の引き取り・葬儀等に関すること
(3)身寄りがない人への対応において考えられる支援
- 医療・ケアチームとの連携
- 当該患者の状況に応じた介護・福祉サービスの相談
- 一部負担金の減額・免除・支払猶予や無料定額診療事業、生活困窮者
- 自立支援制度、生活保護制度等の行政サービスへの相談
- 支払い方法の相談
- 成年後見制度や日常生活自立支援事業等の権利擁護の制度の利用相談
(4)本人の意思・意向の確認と尊重
- 本人が安心できるように働きかけ、本人の意思を尊重し、その決定を支援する対応を行う。
- 本人の意思決定能力は、説明の内容をどの程度理解しているか(理解する力)、それを自分のこととして認識しているか(認識する力)、論理的な判断ができるか(論理的に考える力)、その意思を表明できるか(選択を表明できる力)によって構成されると考えられ、本人の意思決定能力を固定的に考えずに、本人の保たれている認知能力等を向上させる働きかけを行うことが求められています。
- 成年後見制度の利用相談によって本人を支援する場合も、成年後見人等には本人の意思を尊重しながら業務をおこなう義務があること、ある程度の判断能力がある補助、保佐類型の場合には、本人の同意が無ければ補助人、保佐人に代理権が与えられないことを理解しておく必要があります。本人の意思を尊重した対応として、医療の提供に当たり、本人が記した、いわゆる「事前指示書」の内容を尊重することも考えられます。本人が「事前指示書」や「エンディングノート」などを記載していないか確認します。
(5)成年後見制度と「身元保証・身元引受等」
認知症、知的障害、精神障害などの理由で判断能力が不十分な人は、不動産や預貯金などの財産を管理したり、必要な介護・福祉サービスや施設への入所契約を結んだりすることが難しい場合があります。
成年後見制度を利用している方については、後見人に困りごとの対応(手術の許可などを除く)をお願いできることもあります。
まとめ
・「身元保証人等がいないことのみで入院ができない」という事態は改善されつつある。
・コミュニケーション可能な状況であれば、本人の意思を尊重する。
・コミュニケーションが困難な状況を想定して事前に準備しておく。「事前指示書」「エンディングノート」などで医療について記入していただいておくことが望ましい。
・成年後見人や生活保護ケースワーカーとも、日ごろからコミュニケーションを取っておく。
ACP・事前指示書
ACPの参考【出典:厚生労働省】
事前指示書の参考【出典:国立長寿医療研究センター】
パンフレット【出典:京都地域包括ケア推進機構】
記事【出典:京都府保険医協会】
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